Swiss National Bank2026-Q1
一定額以上の米国株運用資産を裁量で運用する機関投資家は、四半期ごとに米国SECへ13Fフォームを提出し、保有する米国上場株式を開示する義務がある。ここではスイス国立銀行(SNB)の2026年第1四半期の実際の提出データを使い、13Fの読み方を順を追って解説する。
13Fが開示するもの。 13Fは報告日時点のスナップショットで、米国上場株式のティッカー、株式数、時価を並べたものにすぎない。売買の理由も今後の計画も、現金や米国以外に上場する証券も含まれない。今回SNBは2301銘柄を報告(前四半期は2311銘柄)、回転率(turnover ratio)は0.140197。四半期中に実際に売買されたのはポートフォリオのごく一部ということだ。
本当の新規ポジションを見分ける。 アクションがnew_buyで、前四半期の時価が存在しない場合、既存銘柄への買い増しではなく、新規に構築したポジションだ。今期の目玉はAZNで、時価は$1.20B、ポートフォリオに占める割合は0.69%。SUNBも新規買いで、時価は$104.4M。これに対しXOMは前四半期から保有されており、今回買い増された。
「買い増し」「減らし」「全売却」の読み方。 addは株式数を実際に買い増した積極的な取引。trimは一部売却、sold_outは全売却を意味する。今回の上位変動(top_holding_changes)にはtrimもsold_outもなく、能動的な取引はすべてaddかnew_buyだ。最も分かりやすいaddの例がXOMで、時価は+$693.9M増えて$2.10Bに、組入比率も0.84%から1.21%へ上昇した。
「買い増しなのに時価が減少」の落とし穴。 今期はaddでありながらマイナスの値動きを記録した銘柄が複数ある。MSFTの変動は-$1.69B、AAPLは-$108.5M、AMZNは-$190.4Mで、アクションはすべてadd。提出データの注記は明確だ:株式数は増加(実際の買い)だが、株価下落が買い増し分を上回り、ドル建て時価は減少——売りではない。よってaddの行にマイナスが付いていても、売却と読んではいけない。
「未変動」銘柄の意味と、回転率が教えること。 今回の上位変動にunchangedはなく、記載された行はすべて能動的な取引だ。しかし2301銘柄を保有し、回転率は0.140197しかない。大半の銘柄は今期も売買されていない。unchangedの銘柄では、時価や組入比率の変化はすべて株価の動きによるもので、運用者が売買したわけではない。
今期の動きの全体像。 能動的な判断はすべて買い方向だ。減らしも全売却もなく、新規買い2件、ヘルスケア・エネルギー・テクノロジーにまたがる買い増しが並ぶ。SNBはこの変動リストの中で時価が最も大きいAAPLとMSFTを買い増したが、両銘柄の時価は減少した。その間、HHIは0.019134から0.016841へ低下し、情報技術セクターの比率は0.3606から0.3386へ縮小した。要するに、売買は買い中心でも、価格——特にテック株——は逆方向に動いた。
下の表について補足する:「実際の買い;株価下落」と記した行は、addでありながらドル建て時価が減少した銘柄だ。提出データの注記の言葉を使えば、株式数は増加(実際の買い)だが、株価下落が買い増し分を上回り、ドル建て時価は減少した——売りではない。
| Ticker | アクション | 時価の増減 |
|---|---|---|
| AAPL | add(買い増し) | -$108.5M(実際の買い;株価下落) |
| MSFT | add(買い増し) | -$1.69B(実際の買い;株価下落) |
| AMZN | add(買い増し) | -$190.4M(実際の買い;株価下落) |
| META | add(買い増し) | -$267.5M(実際の買い;株価下落) |
| AVGO | add(買い増し) | -$163.5M(実際の買い;株価下落) |
| GOOG | add(買い増し) | -$105.6M(実際の買い;株価下落) |
| LLY | add(買い増し) | -$200.0M(実際の買い;株価下落) |
| XOM | add(買い増し) | +$693.9M |
| JNJ | add(買い増し) | +$362.6M |
| WMT | add(買い増し) | +$260.1M |
| AZN | new_buy(新規購入) | 注目すべき変化 |
| SUNB | new_buy(新規購入) | 注目すべき変化 |